【天気の子】須賀圭介が水没しているのに窓を開けたのはなぜ?泣いたわけや帆高を手助けした理由についても

「君の名は。」を手掛けた新海誠監督の最新作「天気の子」は、100億円の興行収入を超えるヒットを記録しています。

森嶋帆高という少年と天野陽菜という少女を中心に、異常気象の起きている東京を舞台に物語が紡がれていきます。

ボーイミーツガールのストーリーで、映像美と感動的な内容が印象的な作品です。

今回は、その中でも味のある登場人物の一人、須賀圭介を掘り下げ、「天気の子」のおもしろさをさらにご紹介します。

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目次

須賀圭介が水没しているのに窓を開けた理由

須賀圭介はいろいろと訳アリの人物として描かれています。

職業は有限会社K&AプランニングCEOです。

K&Aプランニングは零細編集プロダクションで、須賀は実質的には一人のライターとして活動をしています。

10代のころに、帆高と同じように家出という形で上京し、そこで出会った間宮明日花と結婚しています。

しかし、明日花との間に一人の娘が生まれて間もなく明日花は亡くなってしまいます。

その後、娘である萌花とともに暮らすことも叶わず、ライター稼業で暮らしているという設定です。

 

そんな須賀と帆高は、帆高が家出する際に使用したフェリーの船内で出会い、ともに雑誌の制作のために過ごすことになります。

物語の後半、帆高と陽菜が逃避行を始めた辺りから、なかなか心情を容易には読み取れない言動が見られるようになります。

それらについて、鑑賞後の多くの方が疑問をもち、多くの考察を発信しています。

 

その一つに、須賀が地下の事務所の窓を開けるシーンがあります。

これは、帆高を追い出した後のシーンで、明らかに窓の位置まで水がきていることに気が付きながら、須賀が窓を開けるという描写です。

ネット上では、須賀が過去を清算したいという意味があるのでは、という考察が多く見られます。

そのような意味も読み取ることはできますが、もう少し自然な心情の読み取りもできるように思えます。

それは、帆高を自分の保身のために追い出してしまった罪悪感とそれに対する自暴自棄な気持ちです。

娘とともに暮らすため、手を尽くしていた須賀は、警察に捜索されている帆高とともにいることで面倒事が起きると察し、退職金を与えて追い出しています。

帆高と似たような境遇を生きてきて、気持ちも理解できるはずの身近な大人でありながら、そのような対応をしてしまった自分への歯がゆさなどを感じることができるシーンです。

関連:【天気の子】東京だけが水没したのはなぜ?範囲や場所と矛盾についても

関連:【天気の子】帆高が家出をしたのはなぜ?怪我をしていた理由や雨男についても

須賀圭介が泣いたわけ

窓を開けたシーンの後、須賀は安井刑事の訪問を受け、事情を聴取されます。

安井刑事は会話の中で、「陽菜に、全てをかなぐり捨ててでも会いたいと言う帆高を、羨ましい気もする」と話し、同時に陽菜が人柱となるであろうことも伝えます。

そのとき、須賀は自然と涙を流すのです。

この涙のわけも様々な考察ができる部分ではありますが、ここまでの流れを考えると2つの可能性が考えられます。

①陽菜を必死に救おうとする帆高を邪険に扱ってしまったこと、陽菜が犠牲になってしまうかもしれないことに対する後悔

②亡き妻や娘に対して満足のいくような働きかけをしてこられなかった劣等感

恐らく、須賀は帆高の純粋な想いに感動するとともに、自分自身の不甲斐なさにも思い至っていただろうと推測できます。

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須賀が帆高を手助けした理由

一度は帆高を突き放した須賀ですが、終盤には手助けをして逮捕されてしまいます。

それは、帆高が警察に包囲され互いに銃口を向け合って一触即発の雰囲気になっているときです。

帆高は「僕はただもう一度、陽菜さんに会いたいんだ」と叫びます。

その叫びを聞き、須賀は高井刑事に体当たりにし、帆高を手助けします。

このとき、須賀は自分の本音を叫んでいます。

それは「お前らが帆高に触るな」という言葉です。

この言葉には、自分が大事に思っている人に会いたい、その人を救いたいという帆高の純粋な心に同調し尊重して何かを手伝ってあげたいという切実な思いがにじんでいます。

このシーンには、「天気の子」を通して変容した須賀の姿が凝縮されています

また、自分自身が妻や娘に対して、満足できるような行いをできてこれなかったため、帆高には同じような思いはさせたくないという強い気持ちを感じることもできます。

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まとめ

「天気の子」には魅力的な登場人物が多く登場します。

その中でも物語を通して大きく変わっていくのが須賀という人物です。

須賀の葛藤や変容を追っていくことで、「天気の子」が物語りたい何かに少し近づけるような気がします。

「天気の子」は観る視点によって、いくつもの解釈ができる重層的なストーリーとなっています。

ぜひ、帆高や陽菜といった主要人物以外の登場人物にも目を向けて、「天気の子」を楽しんでみてください。

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