「君の膵臓をたべたい」といえば、原作は住野よるさんの小説で、浜辺美波さんと北村匠海さん主演の実写映画やアニメも公開されました。
そんな話題作の主人公は「僕」です。
「僕」にはもちろん名前があるのですが、この作品では最後まで伏せられています。
本記事では、「僕」の名前や伏せられている理由について、何故あえて最後に分かるようにしたのかをまとめていきます。
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目次
君の膵臓をたべたいの僕の名前
「君の膵臓をたべたい」の「僕」の名前は「志賀春樹(しが はるき)」です。
原作小説でこの名前が出てくるのは1度だけであるため、読者の中には主人公の名前が分からないという人も少なくありません。
ちなみにどのシーンで出てくるかというと、ヒロインである山内桜良が亡くなった後、彼女の母親に名前を聞かれた際に「志賀春樹といいます」と答えるシーンがあります。
この時にやっと「僕=志賀春樹」ということが分かります。
主人公の「僕」視点で物語が進むため、そのシーンまでは名前が分からないのです。
このように、主人公目線で出来事が進む小説のことを「一人称小説」と言います。
一人称小説の例としてあげられるのは、夏目漱石の「吾輩は猫である」「坊ちゃん」です。
どちらも名作とされていますので、読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
他にも一人称小説は色々とありますが、最後まで名前が分からないものや途中で分かるもの、初めから自身で名乗るものなど様々です。
本記事で取り上げる「君の膵臓をたべたい」では、主人公の名前が分かるのはかなり終盤です。
物語の途中で「主人公の名前って何だったっけ?」と遡っても名前は出てきません。
そのため、この作品を読んだことがある人でも、主人公の名前が分からないもしくは忘れてしまっている人も少なくありません。
それでは何故、主人公の名前が終盤まで明らかにされないのでしょうか。
次は、「僕」の名前が伏せてある理由について考察していきます。
僕の名前が伏せてある理由
「君の膵臓をたべたい」の主人公である「僕」の名前が伏せてある理由を、本記事では「読者からの共感を得やすくするため」であると考察します。
物語の登場人物には名前がついているのが一般的ですが、分かりやすい反面、読者からしてみれば「他人」が繰り広げる出来事を見ていることになります。
一方、「君の膵臓をたべたい」は主人公の名前を「僕」として、終盤まで名前を明かしません。
こうすることで先入観が生まれず、読者自身が主人公であるような感覚を持つことができるのではないでしょうか。
次は、「僕」の名前が最後に分かる訳を考察してみたいと思います。
僕の名前が最後に分かる訳を考察
本記事では、「僕」の名前が最後に分かる訳を「主人公の成長を感じさせるため」であると考察します。
物語の始めの「僕」は、人との関わりをあまり持たない、どちらかというと内向的な人物です。
しかし、物語のヒロインである桜良と出会い、彼女と行動を共にすることで変化していきます。
桜良のような、人から愛される人間になろうとするのです。
そして桜良の死後、以前とは違う「僕」になった証として名前が明らかにされているのではないでしょうか。
もちろん、名前を聞かれれば答えるのが普通ですが、以前までの「僕」であれば積極的に自分の名前を伝えたい性格ではないはずです。
「僕はフルネームで名乗った」というような表現にすれば、物語中で最後まで名前を明かさずに済みます。
しかし物語の終盤で「志賀春樹」という名前を明らかにすることで、その存在を読者に印象付けることができます。
桜良と友人になって、彼女と時間を共にしたのはどこかの誰かではなく「志賀春樹」なのです。
前の見出しでは、主人公の名前を「僕」とすることで「読者からの共感が得やすい」と記述しました。
結局名前を明かすのであれば、やはり他人の出来事になってしまうのではと考える方もいるかもしれません。
途中であればそうなってしまうかもしれませんが、名前が明らかになるのは、桜の死後というかなり終盤です。
それまで自身が主人公のような感覚で作品に触れてきた読者は、「僕」が名乗ったことに一種の積極性や主張を感じるのではないでしょうか。
桜良と出会わなければ、「僕」は以前のままの「僕」であったかもしれません。
桜良と過ごした時間のおかげで「僕」は成長することができ、その証として名前が明らかにされるというのは、物語の中でも特に印象的なシーンになりますね。
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まとめ
今回は、「君の膵臓をたべたい」の主人公である「僕」の名前やそれが伏せられている理由について、そして何故あえて最後に分からせるようにしたのかを考察してまとめました。
「僕」の名前を終盤に明らかにすることで、読者に主人公の成長が伝わるというのは、この作品が巧妙に作られていると感じました。
また、「僕」が成長したことで、亡くなってしまった桜良との絆についても、より強いものであるようにくみ取ることができます。
この作品はどうしても桜良のほうに注目がいきがちですが、やはり主人公である「僕」の存在が物語の面白さを際立てているようですね。
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